「介護タクシー頼みたいんだけれど、一体いくらぐらいかかるの?」
間違いなく一番多い問い合わせです。
今の時代、利用したいサービスの料金がどれぐらいかかるかわからないときは、ネットで調べますよね。
ネットで調べたら、大体わかりますよね。
わからないんです・・・
ここでは介護タクシーの料金について、どこよりも詳しく説明します。
目次
介護タクシーの料金のしくみ
そもそも料金がわからない理由は何でしょう。
ズバリ、はっきり決まっていないから・・・。
順番に説明します。
まず、介護タクシーの料金の構成について説明します。
メーター料金 + 迎車料 + 予約料 + 介助料金 + オプション料金
大きく5つの要素で構成されています。
メーター料金・迎車料・予約料は、国土交通省の認可を受けた料金なので、勝手に変えることはできません。
また、タクシーメーターは一年毎に厳格な検査を受けなければならないように定められています。
メーター料金・迎車料・予約料
メーター料金
タクシーメーター料金での分類で介護タクシーは2種類あります。
- 大型車・・定員7名以上のもの
- 普通車・・定員6名以下のもの
ほんとはもっと細かく規定してあるのですが、まあこんなとこです。
それぞれの料金を一覧で表すと(令和2年12月現在)
初乗り | 加算運賃 | 10㎞/h以下の走行時 | 時間制1時間まで | 時間制30分ごと | |
大型車 | 770円 | 265mまでを増すごとに90円 | 1分35秒ごとに90円 | 4850円 | 2230円 |
普通車 | 730円 | 280mまでを増すごとに90円 | 1分40秒ごとに90円 | 4650円 | 2110円 |
ちなみにこれは最高額です。(何円~何円と決められており、その中から自由に設定できる)
これ以上の表示があれば、違法運行になります。(安すぎても違法です)
ところでタクシー運賃には3種類あります。
- 距離制運賃・・・・・実走した距離によって加算される運賃です。
- 時間制運賃・・・・・経過時間でのみ加算される運賃です。貸切なんかで利用されます。
- 時間距離併用運賃・・距離制運賃で、10㎞/h以下の時にも加算される運賃です。渋滞の時や待機する場合に加算されます。一般のタクシーを含め、基本この運賃です。
ただし、高速道路上においては渋滞で10㎞/h以下になっても加算されません。
高速道路では、距離時間併用運賃から距離制運賃に切り替えなければならないからです。
高速道路上で10㎞/以下になったときにメーターがカウントするならば、そのタクシーは違法ということになります。
あと、短距離(だいたい10㎞以内ぐらい)の場合、距離制ではなく時間制を適用しているところがあります。その場合、移動距離がどんなに短くても4850円以上になります。
迎車料
介護タクシーは一般のタクシーのように流しが禁止されています。
よって必ずお迎え=迎車回送が発生します。
迎車料には固定迎車と空転迎車(スリップ)の2つがあります。
固定迎車とは、迎車料金があらかじめ設定されたものです。
初乗り運賃以上に設定することはできません。
事業者によりまちまちですが、初乗り運賃と同額な場合が多いです。
空転迎車(スリップ)とは、初乗りの2キロメートルを限度として実車扱いにするものです。
回送距離が2キロメートル以上であれば、お客様が乗車した時には初乗り距離を消化した状態ということです。
実車を押した瞬間にメーターがカウントした場合は、この空転迎車ということです。
予約料
予約での運行となりますので、基本加算されます。
400円が一般的ですが、特に決まりはありません。
介助料金
さあ・・いよいよ本題に入ります。
ここからが大事なところですよ。
乗降介助
介護タクシーを利用する場合はほとんどの場合、介助料金が加算されます。
特に乗降介助については、ほぼほぼ加算されます。
介助の基本料金といった感じですね。
1000円が一般的ですが、事業者によって多少の幅があります。
室内介助
お客様の自宅にあがって移動のお手伝いをした場合に加算されます。
玄関とお部屋の間の歩行を介助したり、ベットと車椅子間の移乗を介助したりします。
一般的に1000円~2000円ですが、それ以上のところもあります。
室内に入っても少しの介助ならサービスする場合もあれば、少しでも入ったら加算する所もあります。
階段介助
階段の移動を介助したときに加算されます。
1階上がる毎に1000円が一般的です。
例えば3階まで解除すれば2000円となります。
事業者によっては玄関前の段差やマンションのエントランスの段差で加算する場合もあります。
院内介助
病院内で付き添いを代行する場合加算されます。
1時間当たり1000円~3000円ぐらいですが、事業者によってまちまちです。
オプション料金
さらに、必要なサービスを希望すると加算されます。
車椅子
車椅子を持っていない場合は借りることができます。
ここでいう車椅子は、いわゆる普通の車椅子です。
基本的に無料のところが多いですが、500円ほど加算されることがあります。
リクライニング車椅子
こちらはリクライニングのできる車椅子です。
座位を維持するのがつらい場合や、長時間移動するときに利用すると便利です。
背もたれを完全に倒すとフラットになるので簡易ストレッチャーとしても利用できます。
ただ、フルフラットにするとバランスが悪くなるので、あくまで一時的の使用にとどめるべきです。
貸出料は2,000円が一般的ですがやはり事業者によってまちまちです。
ストレッチャー
横になったまま移動できます。
患者さんは寝たままでいいので、ほとんど負担がかかりません。
また、寝たきりで出かけることが難しい方でも
ストレッチャーを使えば外出ができます。
寝たきりの方をディズニーランドにお連れすることもありますよ。
料金は3,000円位から6,000円位までで結構幅があります。
酸素
酸素吸入の必要がある場合は酸素も提供します。
基本料金100リットルまでで2,000円が一般的です。
移動時間が長い場合や、流量が多い場合は100リットルを超えるので、その場合は1リットル20円が加算されます。
吸引器
痰等を吸引するための器具です。
使用料は、無料~5,000円ぐらいでしょうか。
無料と謳っていても消毒料として加算する場合が多いので注意が必要です。
スタッフ追加
患者さんを2人で担架で運ぶ場合など、スタッフを追加する場合に加算されます。
1人追加で4,000円前後が一般的です。
まったく立つことができないときや歩けないとき、お部屋が2階以上で階段を上がる必要がある場合等は2人で担架で運ぶ必要があります。
お手伝いしてもらえる場合は、この費用を節約することができます。
看護師同乗
移動中、見守りが必要な場合や痰の吸引が必要な場合は看護師を同乗させることができます。
費用は4,000円ぐらいから1万円ぐらい(一時間まで)で幅がかなり大きいので、確認が必要です。
ちなみに介護タクシーの運転手は介助はできても医療行為は一切できません。
感染症患者搬送
感染症の患者さんを搬送する場合に加算されます。
結核の患者さんが多いですね。
1万円~15,000円以上が一般的です。
新型インフルエンザや新型コロナウイルスのように防護服が必要な場合は、かなり高額になるので確認が必要です。
精神疾患患者搬送
精神的に不安定な患者さんを搬送する場合に加算されます。
料金は患者さんの状態によって変わりますので、一概に言えませんが、
強制入院のため半ば強引に連れて行く場合、スタッフが3~4人ぐらい必要になり
そうすると費用は10万円~20万円かかる場合もあります。
リスクが大きい仕事なので、あまりやりたがらない事業者が多いです。
キャンセル
最後にキャンセル料です。
直前に容体が悪化してキャンセルになることが多いです。
そのためか、前日までのキャンセル料はかからない場合が多いです。
が、予約運行のためキャンセルは事業者にとってダメージが大きいですので、多少なりとも徴収するところもあります。
当日のキャンセルは徴収することが多いですが、1,000円~3,000円ほどです。
実際の事例
項目が多くていまいちピンとこない方もいると思いますので、実際の事例で説明します。
一般的な料金設定ですのであくまで目安です。車両は大型車を使用するとします。
事例1
あなたのお母様が足を捻挫してしまいました。家から2㎞のところにある病院に行こうと思いますが、痛みがひどくて長く歩くことが困難です。玄関までは頑張って出ることができそうです。
料金の構成は
メーター料金 + 迎車料 + 予約料 + 介助料 + オプション料金
でしたよね。
メーター料金は265mで90円ですから、2000m÷265m≒7.5×90円≒675円。
迎車料は770円。
予約料は400円。
介助料は玄関まで出ることができるので、室内介助はなく乗降介助料のみ1000円。
オプション料金は通常型車椅子なので0円。
675円+770円+400円+1000円≒2850円
事例2
あなたのお父様は今入院中です。この度5㎞離れた他の病院に転院することになりました。
起き上がることができないので、ストレッチャーでの移動になります。
メーター料金は5000m÷265m≒18.8×90円≒1690円
迎車料は770円。
予約料は400円。
介助料は病院内でベッドからストレッチャーに移乗しますが、一般的に病院内の介助は加算しませんので、乗降介助のみの1000円。
オプション料金はストレッチャーを使用するので4000円。
1690円+770円+400円+1000円+4000円≒7860円
事例3
あなたのお母様が退院することになりました。ただ寝たままの移動になるのでストレッチャーが必要です。また酸素を吸入しながらの移動になります。流量は2ℓです。
自宅でのお母様のお部屋は2階にあります。エレベーターはありません。室内での介助はすべて介護タクシーにお願いすることにします。自宅は病院から15㎞のところにあります。
メーター料金は15000m×265m≒56.6×90円≒5090円(高速を使用すると別途加算されます)
迎車料は770円
予約料は400円
介助料は基本の乗降介助が1000円、室内介助が1000円、階段介助が1000円。
1000円+1000円+1000円=3000円
オプション料金はストレッチャーが4000円、酸素吸入が使用時間40分と仮定して2ℓ×40分で80ℓなので基本料金の2000円、お部屋が2階で担架で2階に運ぶ必要があるのでスタッフ1名追加で4000円
4000円+2000円+4000円=10000円
5090円+770円+400円+3000円+10000円≒19260円
何回も言いますが、これはあくまで一般的な料金です。
また、事例3のように複雑な案件になると、わけのわからない加算をする事業者がいるのでご注意ください。面倒でも内訳をしっかり確認するようにしてください。
まとめ
しつこいようですが、料金にはかなり幅があります。
ただ、なんとなく「ちょっと高いな」とか、「おっ、ここ安いじゃん」とか感じていただけるようになったと思います。
介護タクシーの料金構成の基本は・・・
メーター料金 + 迎車料 + 予約料 + 介助料 + オプション料金
ということだけは、しっかり覚えておきましょう。
料金を確認するときに、利用すると便利です。
一つ注意していただきたいことがあります。
それは
安いから良い介護タクシー
高いからぼったくり介護タクシー
と一概には言えないということです。
装備が充実していたり、乗務員の指導・教育が行き届いているというように高品質なところは当然経費がかかるため割高でしょうし、アピールできるようなポイントに乏しく、安くする以外ないというところは、ほんとにそれで経営が成り立つの?って疑問に思うくらい激安だったりします。
つまり、料金を単純に比較するのではなく、対応の仕方やサービス内容を見極めていただきたいのです。
今回お届けした標準的な料金を把握したうえで、「ここは標準より高いようだけど、それ相応のサービス内容かな」とか、「ちょっと一般的な料金よりすごく安いけど、品質は大丈夫かな」という感じで選定するための参考になれば幸いです。
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