親を病院に連れて行きたいけど、タクシー呼んでも外に連れ出すのが厳しい・・
救急車を呼ぶほどではないし・・
そんな時は介護タクシーがとっても便利です。
介護タクシーって言葉は知らない方はほとんどいないと思います。
でもその中身は・・・ぼやーっとしたイメージではありませんか?
介護タクシーについて世界一わかりやすく解説します。
私は介護タクシーを始めて7年になりますが、今は4台で営業してます。
その中で得ることができた知識を
余すことなくお伝えします。
目次
介護タクシーとは
そもそも介護タクシーとはどんなものなのでしょうか。
一般的に高齢者や障がい者・傷病者等の歩行が困難な人を輸送する乗り物。
運転者は運転だけではなく、乗降時の介助はもちろん家の中から車までの介助も行う。
車椅子で生活されている方の移動手段として大変便利な乗り物です。
と同時に、著しく高齢化が進む日本にとっては何よりも欠かすことのできない存在です。
なぜなら現在の日本における社会全体の福祉に対する意識は絶望的に低いと
言わざるを得ないと仕事を通じて感じるからです。
公共交通機関のバリアフリー化と介護タクシー
最近では路線バスや電車・船舶や航空機でも車いす対応のものが一般化しました。
一般のタクシーでも車いすのまま乗れる仕様のものが出できました。
特別追加料金がかかるわけでもなく、それどころか割引が適用される場合もあります。
しかし、これらのものは「車椅子専用」ではないので必要な時だけ特別な手順を踏んで対応するということになります。
航空機や船舶・電車の一部は予約が必要だったり、バスは予約は必要ないですが、乗降のたびに特別な手順が必要で、その間一般の乗客は待たされるわけです。
この時の一般乗客の冷たい視線が気になったり、最悪の場合、運転手が悪態ついたりしたら車椅子の方は利用しにくくなりますよね。
最近普及してきたジャ〇ンタクシーは車いすのまま乗れるというふれこみで話題になりましたが、実際は手間が相当かかるようで、あからさまに乗車拒否されることもあるそうです。
その点介護タクシーは車椅子等のお客様のみを対象としますので、当然ですが乗客は気を使うことはまったくありません。
日本の公共交通機関のバリアフリー化は確実に広がってきていますが、社会全体の意識が追い付いていない感じがします。
介護タクシーの活躍の場は当分奪われることはないでしょう。
介護タクシーと福祉タクシーの違い
介護タクシーと並び、福祉タクシーという言葉を耳にしたことがあると思いますが、両者に違いはあるのでしょうか?
結論から言えば、同じものです。
明確な決まりがないからです。
福祉タクシーは乗客の介助をしないが、介護タクシーはするという人がいれば、
福祉タクシーは介護保険が使えないが、介護タクシーは使えるという人もいます。
でも実際は
乗客の介助をする福祉タクシーもあれば、介護保険が使えない介護タクシーもあります。
ところで介護タクシーも福祉タクシーも正式名称は
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉限定)と言いますが、
いづれも旅客を福祉に限定したタクシーということです。
介護タクシーと介護保険タクシーの違い
これは明確な違いがありますね。
介護保険が使えるか使えないかの違いです。
「介護保険タクシーって何?・・介護保険使えるほうがいいに決まってるじゃん・・」って思いますよね。
残念ながら、介護タクシー(福祉限定タクシー)に介護保険が使えるものは存在しません。
??ちょっと待って・・じゃあ介護保険タクシーってなによ!って怒られそうですが・・・
介護タクシーと介護保険タクシー、よく比較されいいライバル関係のようですが・・
実は・・住んでる世界が違うんです。
説明しましょう。
介護タクシーのように有償で旅客を輸送する事業は大きく分けると4種類あります。
- 一般乗用旅客自動車運送事業
- 一般貸切旅客自動車運送事業
- 一般乗合旅客自動車運送事業
- 特定旅客自動車運送事業
一般乗用旅客自動車運送事業とは
一個の契約により乗車定員10人以下の自動車を貸し切って旅客を運送するものです。
いわゆるタクシーですね。
介護タクシーは旅客を福祉に限定された状態でここに分類されます。
一般貸切旅客自動車運送事業とは
旅行やイベントなんかで利用される貸切バスのことです。
一般乗合旅客自動車運送事業とは
都バスや高速バスなど決められた路線を定期的に走るいわゆる路線バスのことです。
特定旅客自動車運送事業とは
特定の旅客を特定される目的地へ運送する事業。
例えば、会社の従業員を会社に送迎したり、学校の生徒を学校に送迎するバスですね。
介護保険タクシーはここに分類されます。
なんと介護保険タクシーはタクシーではないという事実・・
タクシーと呼んでしまっていることがそもそもの間違いなんです。
だって、送迎バスに分類されているんですから。
スクールバスを間違ってもタクシーとは呼ばないでしょう。
初めて介護タクシーを利用される方はとりあえず忘れてしまっても大丈夫です。
介護保険が使える送迎バスについては、別の機会に詳しくお伝えします。こちら
介護タクシーといってもいろんな車がある
介護タクシーというと、どんな車を思い浮かべるでしょうか?
初めて介護タクシーを利用する人は、どんな車が来るか気になるものです。
一言に介護タクシーといっても以下のようなものがあります。
- ワゴンの改造車でリフト付きのもの
- ミニバンの改造車でスロープ付きのもの
- 軽自動車の改造車でスロープ付きのもの
- 普通の乗用車(セダン等)
それぞれ解説します。
ワゴンの改造車でリフト付きのもの
一番多いタイプです。
後部ドアを開けるとリフトが収納されていて、車いすごと持ちあげます。
定員は運転手以外8名ほど。
社内のレイアウトは何種類かあるので一概には言えませんが、
車椅子が最大4台まで固定できるものもあります。
また、ストレッチャーを使用しても十分なスペースがあるので、
医師や看護師の処置をしながらの移動も可能。
ミニバンの改造車でスロープ付きのもの
7人乗りミニバンを改造したもので、後部にスロープを装備したもの。
車いすごと乗り込めることができ、車内にしっかり固定できます。
いくつかタイプがあり、2列目に固定できるもの、
3列目に固定するもの、またはその両方があります。
定員は運転手を除けば4名~6名です。
先ほどの車と比べると、ちょっと狭いですが、
乗り心地は格段にいいです。
軽自動車の改造車でスロープ付きのもの
小さい車両なので狭い道でも入っていけます。
料金も低く設定されているので経済的です。
反面、車内が狭く同乗人数も1~2名に限られます。
普通の乗用車(セダン等)
意外に思われるかもしれませんが、リフトやスロープを装備していない
普通の乗用車を介護タクシーとして使用することもあります。
この車に関しては運転手は介護職員初任者研修修了者が必須になります。
初めて介護タクシーを利用するときは車種を気にすることは必要ありませんが、
繰り返し利用される場合は、自分に合った、または利用者に合った車種を選択するのも
いいかもしれません。
車椅子の方にとって介護タクシーでのお出かけはとっても貴重な時間ですので
少しでも快適な時間を楽しんでいただきたいと思うからです。
介護タクシーはどうやって依頼するの?
介護タクシーとはどういうものか
どういう車種があるかがお分かりいただけたと思います。
ここでは
介護タクシーを依頼するときに確認すべきこと
介護事業者の選定の仕方
依頼するうえで注意すること
を解説いたします。
介護タクシーを依頼するときに確認すべきこと
- 利用目的は何か・・通院? 入院? お出かけ?
- 必要なものは? 車椅子? ストレッチャー?
- お迎えは玄関? それともお部屋?
- 同乗人数は何人?
- 料金はどのくらいかかる?
【利用目的は何か?】
これは配車ミスを防ぐ意味ではあまり重要ではない。話の流れをスムーズにするために必要です。
【必要なもの】
標準車椅子・リクライニング車椅子・電動車椅子・ストレッチャーのどれを使用するかは、車両選 定の重要な要素になります。
【お迎えは玄関かお部屋か】
車両選定には影響ありませんが、スタッフの必要員数・料金提示のため必要です。
【同乗の人数】
同乗人数が多い場合は定員の問題があるので重要です。
【料金】
予算が合わない場合は事業者を変える必要があるため重要です。
以上のことを押さえれば、とんちんかんな車が来たり、ぼったくられたりすることはないでしょう。
介護タクシーを依頼するときに注意すべきこと
初めての利用でその事業者の良し悪しを判断する情報は多くはありません。
ホームページがある場合は必ずチェックしましょう。
気になること、疑問があればメモしておいて、予約の電話で質問しましょう。
正直、初回は運によることが多いです。
乗務員の身なりや対応の仕方、車両内外の清掃状況等疑問を感じたら次回は違う事業者にしましょう。
ただ、強くお勧めしたいのは、初回好印象であっても2回目・3回目の事業者は極力変えることです。
これには2つの理由があります。
- サービス内容・料金等を比較して、事業者を見極める為。
- 予約の空き状況や使用目的で使い分けられるように、1社に固定しない為。
介護タクシーの予約は9時から11時の間に集中します。
予約したい時間がこの間ならばすでに埋まっている可能性が非常に高いです。
早めに予約するか、9時から11時を避けるか、ほかの事業者に依頼するということになります。
メイン・サブ1・サブ2の3社ぐらいはキープしておきましょう。
まとめ
- 介護タクシーと福祉タクシーは基本的に同じもの。人によって定義がバラバラなので内容の確認が必要。
- 介護タクシーと介護保険タクシーは名前が似ているだけで全く違うもの。介護保険タクシーの正体は送迎バスで、少なくとも初めて依頼する人には縁がないもの。
- 介護タクシーにはいろいろな車がある。目的・用途に合った車を所有する業者を選ぶ。
- 依頼時に最低確認すべきことを実践し、配車ミスをなくす。
- 初回から優良事業所を探し当てるはことは困難。
- 1社に固定せず、数社を利用して比較する。
- 不測の事態の備え、2~3社キープしておく。
いかがだったでしょうか。
介護タクシーを依頼するときの参考になれば幸いです。
介護は辛くてネガティブなイメージが強いですが、
介護タクシーを上手に活用して楽しいお出かけをしていただき、
メリハリある介護生活を大切な人とお過ごしください。
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